ウェーブコントロールとは
今回は良く聞くウェーブコントロールなるものについて、ぼくの考え方を記述していきます。
ウェーブコントロールが上手くいかないとか
ウェーブコントロールが良くわからないとかそういうことは実際よく聞きますが、
実際ウェーブコントロールによって何が出来るか、何を考えてウェーブコントロールを行ったら良いかといったような
基本的な考え方の部分について解説を行います。
読んで理解出来たときに自分の動きの幅が広がるような内容を目標にして書いていきます。
理解している人からしたら、当たり前の事をクソ長く書いてるだけの記事です。
ウェーブコントロールとはそもそも何かですが、
敵ミニオンと自ミニオンがぶつかる位置・または自ミニオンが到達する位置を自由に操る事を言います。
ミニオンのぶつかる位置を自タワー手前にする事でガンクを受けづらくしたり、
自ミニオンを敵タワーに到達させる事でタワーを殴ったりと、
自分が行いたい行動に対して直接的に影響してくるわけです。
よって、これから①自分が行いたい行動は何かを明確にし、
それを行うためには②ウェーブをどこでぶつけたい(どこに到達させたい)かを決定し、
それを実現するために必要なものを理解し、③実際に実行する能力がウェーブコントールの技術になります。
この記事ではこの3つのステップについて分解していきます。
①自分が行いたい行動を明確にする
ウェーブコントロールについての理解が足りてない人は、ここのフェーズを考えてない場合が多いです。
自分が現在何を行いたいか、なんでも良いのでちゃんと決めます。
・レーン戦でキルを絶対取りたい!
・キルされず、ファームだけしっかりやる!
・ジャングラーがカニを取りに来そうだ、寄って手助けしてあげよう!
・相手のジャングルにワードを置きに行きたい!
・タワーをガンガン削りたい!
こういうのでいいです。とにかく1つだけでも良いのでしっかり決めます。
特に何も決めてないけどノリでミニオン殴ってる人は、まずステップを踏んでここから始めていきましょう。
②ウェーブの到達位置を決定する
①で決めた行動を実行するためにはウェーブをどこに到達させたいかを決定します。
決定といっても、これに関しては自分で決めるのではなく①の決定時点やマッチアップ等で既に決まっている場合が殆どです。
つまり、①を決めた段階で自動的に②も決まります。
例えば、①を「ジャングラーがカニを狙っているため寄る」とした場合は、
②の目標ウェーブ到達位置は「相手タワー」になります。
相手がタワーに到達したミニオンを処理している間に損失無く一方的に寄る事が出来るためです。
マッチアップによって影響が出る例を挙げるとすれば、
ボットレーンにおける トリスターナアリスター vs ジンクスルル で考えてみます。
トリスターナアリスター側が、①に「キルを狙いたい」と設定したとします。
この場合、射程の短いトリスターナとアリスターのオールインは身体を相手に接近させる性質上、
ウェーブの位置が相手のタワーに近ければ近いほど逃げられやすく(オールイン時にアリスターがタワーを受けやすい)、①で設定したキルが狙いづらくなります。
逆にオールインした位置が敵タワーから遠かった場合は、ジンクスルルはタワー下に逃げるまでに時間がかかるため、キルの可能性は高くなります。
よって、②の目標ウェーブ到達位置は「真ん中より自陣タワー側」辺りに自動的に設定されます。(ちなみにトップレーンにおけるダリウスもこのパターンに該当しやすい)
別の例を見てみます。
エズヴェルコズ vs ジンクスルル で考えてみます。
エズヴェルコズ側が、さっきと同様に①に「キルを狙いたい」と設定したとします。
エズヴェルコズはCCがほぼ無いため、1度のオールインでキルを狙うダメージは期待できません。
ポークが得意なチャンピオンなため、まずポークによって敵の体力を一方的に削り、体力が減った所にオールイン、というようにキルを起こすためには2ステップに分ける必要があります。
という事は、ポークによって敵の体力を削りやすいウェーブを作ることが理想形になります。
エズヴェルコズはミニオンによってポークスキルが防がれる事と、敵がCSを取るために足を止める瞬間がポークスキルを当てやすい事から、
それらを両立できる②の目標ウェーブ到達位置は「敵タワー下」に自動的に設定されます。
このように、①の設定やマッチアップ等によって②の目指すウェーブ位置というのは変わる事がポイントになります。
※実は①を達成するために適したウェーブには、「ウェーブ位置」の他に「ウェーブの大きさ」という要素も出てきます。
しかし、概要を理解するためには「ウェーブ位置」だけでも十分だと思いますし、長くなりそうなのでこれに関しては一度割愛します。(いつか書き足すかも)
③実際に実行する
①の設定によって決定した②を目指して実際にウェーブに干渉するフェーズになります。
①はやりたい事を決めただけ、②はそれによって勝手に決まっただけ、つまり①と②は知識が大部分を占める訳ですが、
ウェーブコントロールにおいて、この実際に行動に移す③が一番技術(判断力)が求められる部分になります。非常に長くなりますが、細かく見ていきます。
なぜ一番技術が求められる(難しい)かという話をします。
まず②で目指すウェーブの到達位置が決まりました。
これを実行するために、ウェーブを押す押さないを決める訳ですが、
(Ex.②のトリスアリスターで言えばウェーブを引くためにウェーブに触らない
Ex.②のエズヴェルコズで言えばタワー下に押し込むためにウェーブに触るみたいな)
これを行おうとしたとき、「敵が存在する」という要素と「ミニオンウェーブは一定間隔で出ている」という要素が出てきます。
特に、前者の「敵が存在する」という要素が非常にくせ者で、この敵の存在によってウェーブの押し引きが妨害されてしまうのです。
今回はこの特に大きな「敵が存在する」という要素について見ていきます。
②のエズヴェルコズを例にしてみてみます。
ポークしたいからタワー下に押し込みたい。つまり敵ミニオンに攻撃してれば敵タワー下までウェーブは絶対に行く。
・・・というのは敵が何もしてこない場合の話です。
ウェーブの押し引きというのは自分のプッシュによる絶対的なものでなく、
敵のプッシュとの比較による相対的なものによって決まります。
例えば、仮に相手がミニオンへの攻撃を一切しなかった場合(0)は自分がミニオンへの攻撃を1行えば、敵のミニオンが先に全滅するため自分のプッシュが成立します。
しかし、相手のミニオンへの攻撃が5だった場合は自分のミニオンが先に全滅するため
相手のプッシュが成立します。
この当たり前の仕組みが非常に大切で、ウェーブを押すためには敵より多くミニオンへの攻撃を行う必要があります。
いくら②でウェーブの到達目標位置を「相手のタワー下」にしたとしても、自分よりも相手の方がミニオンに対するダメージ量が高かった場合は実現出来ないのです。
じゃあミニオンへのダメージ量で負けているマッチアップは100%プッシュする事は出来ないのか?
という事になりますが、答えはノーです。
想像してみましょう。シンドラ vs カタリナを例に挙げます。
普通だったらレンジなためミニオンへのオートアタックがやりやすい上に範囲攻撃が多いためミニオンプッシュを行いやすいのはシンドラです。
しかし、シンドラのHPが1割、カタリナのHPが10割だったらどうでしょう。
カタリナから攻撃されたら死んでしまうので、カタリナが前に歩いてきただけでシンドラは下がらざるを得ず、ミニオンに触れなくなってしまいました。
このように、(ガンクやロームを含め)キルプレッシャーによってミニオンプッシュの主導権が逆転するケースも多々あります。
(余談ですが、プロシーンでルブランがピックされるのもこういった強みがあります。
レーニングではルブラン自体のプッシュ力とキルプレッシャーはそれほど高いものではありませんが、ルブランのW→Eの強力なガンク合わせ(キルプレッシャー)によってプッシュ主導権を得るというチャンピオンです)
このキルプレッシャーの話を踏まえて、最初のトリスアリスター vs エズヴェルコズのマッチアップでイメージしてみます。
トリスアリスターは、真ん中より自陣タワー側ぐらいをウェーブ到達位置としたい、
エズヴェルコズは相手タワー下をウェーブ到達位置としたいです。
1.エズヴェルコズ側は、タワー下に押し込むためにヴェルコズの豊富なAoEスキルを使ってミニオンに沢山攻撃しました。
2.しかし、ミニオンを全て倒す前にヴェルコズのスキルがクールダウンの間を狙われ、アリスターからのオールインを許し、HPが一方的に減らされてしまいました。
3.エズヴェルコズ側は「次オールインされたらキルされる」というキルプレッシャーによって、ミニオンに触ることが出来なくなり、タワー下にミニオンを押し込む事が出来なくなりました。
4.その結果、ウェーブは真ん中よりトリスアリスター側で止まってしまったため(トリスアリスター側が②で設定した目標ウェーブ位置)、ガンクされるプレッシャーも込みでずっとミニオンに触れない状況が続き、①の目標を達成出来なくなってしまいました。
この場合のエズヴェルコズ側の失敗した点は、2でトリスアリスターのオールインを許しHP差が出来てしまった点です。
②で設定した相手のタワー下にミニオンを押し付けるためには、オールインをされないように高いHPを保ったまま相手より先にミニオン全て倒しきる必要がありました。
もし、スキルを残していれば相手のHPも大きく削れ、トリスアリスターは次のオールインが出来なくなり、ミニオンを押しきれたかもしれません。
もし、アリスターが「敵がスキルを使ったから今がオールインのチャンスだ」と考えがないプレイヤーだったらそのままミニオンを押しきれたかもしれません。
もし、スキルがクールダウンの間、アリスターからオールインを受けないポジションを維持出来ていればスキルが再び上がったタイミングでミニオンを押しきれたかもしれません。
なぜ上記③実際に実行するフェイズが一番技術を要するかというと、こういったプレイヤーの動きによって左右される要素が発生するためです。
①・②によって目標ウェーブ位置を設定したとしても、敵が行うミニオンへの攻撃量・それに対して自分が行えるミニオンへの攻撃量・自分と敵のHPやマナ差・ポジショニングによるキルプレッシャー・スキルのクールダウン・ガンクプレッシャー等、非常に多くの要因によって③で実際に実行できるかどうかというのは変わってしまうためです。
・②で目標ウェーブ位置を自陣側に設定したのに、ミニオンに1回オートアタックしたせいで敵陣側に行ってしまった。
・スキルをミニオンに使ったタイミングでダメージトレードされてしまいHP差がついてしまったため、ミニオンに触りづらくなってしまった。
・ミニオンを攻撃するために前に出たタイミングで敵のCCスキルを受けてしまい、キルされてしまった。
・不要なタイミングでワードを置いてしまったせいで必要なときにワードが無くガンクを受けキルされてしまった。
このように、多くの要因から失敗が生まれる事を考慮した場合、自分の行動(ミニオンへのオートアタック・歩き・スキル使用・ワード使用等)全てに意味を持たせる事が理想です。
「意味がない行動たった1つによって③の実行が出来なくなる」という事がこのゲームではザラに起きるためです。
つまり、②で設定した目標ウェーブ位置を達成するためには③で何が必要になるかを見極める技術が必要になります。
③で見極めた上で達成不可だった場合は、①で設定した当初の狙いに問題があるという事になります。
それを踏まえた上で、①で狙える選択肢が敵は豊富なのに対し自分は少ないというのが、所謂「ウェーブの主導権がない」状態になります。
反省の仕方
特にレーニングフェイズに起きるミス(自分に限らない、カニ争いで人数差があって負けた等の味方の判断ミスも含める)の多くにはウェーブコントロールが関わっています。
敵をキル出来たが、誤ったウェーブコントロールによって有利にならない・実は不利になっていた、なんて事も起こります。
反省するときに一番大事なのは、「①・②・③のどこでミスをしていたのか」という事です。
そもそも他の選択肢に比べてメリットが薄かったり(ウェーブを引けばずっとゾーニングやキルを狙えるのに常に押し込もうとする等)、難易度があまりにも高い・不可能な事(AoEが豊富な相手に対してAoEが無いキャラでプッシュ勝ちする等)をやりたいと決めていた場合、ミスしているのは①になりますし、
やりたい事を達成出来ないウェーブを目指してしまっていた(敵のタワーを殴る事を目標にしたのにレーンを引くウェーブを目指す等)場合、ミスしているのは②になりますし、
その他殆どの場合はミスしているのは③になりますし、
そもそも①も決めず何も考えずにレーニングを行っているという場合もあると思います。
そこから特に③にミスがある場合は、何によって③のミスになったのか(ダメージトレード失敗・ミニオンに対しての攻撃量・スキルの使い方・ポジショニング等)を分析する必要があり、それらが個人の課題になります。
「自分の技術じゃこのミスは無くせそうにない」みたいな場合は素直に①を変えても良いと思います。(それによって変わった①が俗に言う「プレイスタイル」と呼ばれるものだと思います、多分。知らんけど)
全行動に対して「自分が何を考えてその動きをしたのか」を説明出来る
というのを意識して良いウェーブコントロールライフを送りましょう。